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横浜地方裁判所 昭和51年(ワ)224号 判決 1982年12月23日

原告(反訴被告)

菅坂芳子

右訴訟代理人

島林樹

畑山実

日野和昌

安田昌資

中田利通

被告(反訴原告)

亡河村直次郎訴訟承継人

河村攻

右訴訟代理人

関孝友

主文

一  原告(反訴被告)の第一次請求及び第二次請求を棄却する。

二  原告(反訴被告)と被告(反訴原告)との間の別紙目録第一記載の各土地の賃貸借における賃料が昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日まで一か月につき一万〇一〇九円であり、昭和五三年四月一日以降一か月につき一万一九四七円であることを確認する。

三  被告(反訴原告)は原告(反訴被告)に対し一四万〇八六六円、及び、うち一万九九九八円に対する昭和五三年四月一日から、うち三万二九六四円に対する昭和五四年四月一日から、うち三万二九六四円に対する昭和五五年四月一日から、うち三万二九六四円に対する昭和五六年四月一日から、うち二万一九七六円に対する昭和五六年一二月一日から各支払済みまで年一割の割合による金員を支払え。

四  原告(反訴被告)の第三次請求中その余の請求を棄却する。

五  被告(反訴原告)の反訴請求を棄却する。

六  訴訟費用は本訴、反訴を通じこれを二分し、その一を原告(反訴被告)の負担とし、その余を被告(反訴原告)の負担とする。

七  この判決は第三項に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(本訴)

一  請求の趣旨

(一) 第一次請求

1 被告(反訴原告、以下単に被告という)は原告(反訴被告、以下単に原告という)に対し別紙目録第二記載の建物(以下本件建物という)を収去して同目録第一記載の各土地(以下同目録の番号に従い本件一の土地等といいあわせて本件土地という)を明渡し、昭和五一年二月二七日から右土地明渡済みまで一か月一万一〇二七円の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

3 仮執行の宣言

(二) 第二次請求

1 被告は原告に対し本件二の土地を明渡せ。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

(三) 第三次請求

1 原告と被告との間の本件土地賃貸借契約における賃料が昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日まで一か月につき一万一〇二七円、同年四月一日以降一か月につき一万二八六五円であることを確認する。

2 被告は原告に対し二二万三四〇七円、及び、うち六万二一四七円に対する昭和五三年四月一日から、うち四万三九八〇円に対する昭和五四年四月一日から、うち四万三九八〇円に対する昭和五五年四月一日から、うち四万三九八〇円に対する昭和五六年四月一日から、うち二万九三二〇円に対する同年一二月一日から、各支払済みまで年一割の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は被告の負担とする。

4 右第二項につき仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(反訴)

一  請求の趣旨

1 原告は被告に対し本件二の土地につき農地法第五条第一項第三号に定める神奈川県知事に対する農地転用の届出手続をせよ。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 被告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

第二  当事者の主張

(本訴)

一  第一次請求

(一) 請求原因

1 本件一、二の土地(なお、本件一、二の土地の実測面積は559.34平方メートルであり、本件三の土地の実測面積は登記簿の記載どおりである。)は、もと訴外亡土屋新造(以下新造という)の所有であつたが、同人が昭和四八年八月九日死亡したため原告がこれを相続した。

2 本件三の土地はもと国有地であつたが、昭和五五年四月ころ原告が国から譲渡を受け、同月一九日所有権取得を登記した。

3 被告は本件土地上に本件建物を所有して本件土地を占有している。

<以下、省略>

理由

第一本訴第一次請求について

一本件一、二の土地がもと新造の、同三の土地がもと国の所有であり、原告がその主張のとおり本件土地の所有権を取得したこと、被告が本件土地上に本件建物を所有して本件土地を占有している事実は、当事者間に争いがない。

二そこで、被告主張の賃貸借について判断する。

<証拠>を綜合すると次の事実が認められる。

1  直次郎は、昭和三五年一二月頃当時新造方の近くに住んでいた石井弘の仲介で新造との間で本件土地を現地で一応特定して建物建築のための敷地として賃借する交渉をし、同月二五日、両者の間に本件土地の賃貸借に関し、およそ次のような合意が成立した。すなわちその内容は(一)目的土地は本件土地で目測約一六〇坪、(二)権利金を3.3平方メートル(一坪)につき二一〇〇円、賃料を3.3平方メートルにつき一か月一〇円とし、権利金の内金五万円を直ちに支払う、(三)農地である本件土地(当時は現地に本件三の土地が含まれていることは明らかでなく、全部新造所有の本件一、二の土地と考えられていた)を宅地として使用するための農地法所定の許可手続きは直次郎の協力のもとに新造がなすものとする、(四)整地費用は直次郎の負担とする、(五)権利金残金の支払時期、地代の支払開始時期等は後に契約を締結する時に協議して決めるものとする、というものであつた。そして、新造と直次郎は右合意内容を記載した仮契約書を作成し、直次郎は合意に従つて権利金の内金五万円を支払つた。当時、既に地代、権利金等主要な事項について基本的な合意が成立したのに本契約を締結しなかつたのは、本件土地について正確な面積が判明していないため、権利金、地代についても総額が確定していなかつたこと、契約の目的土地が農地であつたため、宅地として使用するには農地法所定の許可を得なければならず、又、整地をしなければならない状態であつたことなどによるものであつた。

2  前項の合意後、新造は農地法所定の許可申請手続に着手することとなつたが、本件一、二の土地をあわせると面積が広すぎて許可が得られないおそれがあつたため、とりあえず本件一の土地についてのみ許可申請手続をなし、本件二の土地については時期をみて改めて同手続をなすこととした。そして、新造の申請に基づいて本件一の土地については、昭和三六年三月三〇日に農地法所定の転用許可がなされた。ついで、新造及び直次郎は同年秋頃二宮優に本件土地を実測させた結果、実測面積は607.58平方メートル(183.80坪)であることが明らかになつた。その間直次郎は、昭和三六年五月三日権利金の内金一〇万円を、同年九月六日二〇万円を支払い、当時は実測未了のため約一六〇坪と考えられていたので、右二〇万円の支払に際しては後に面積確定後に清算する趣旨で―一六〇坪とした場合には権利金は合計三三万六〇〇〇円となるから、右二〇万円を支払うと支払総額は権利金をこえることになる―権利金及び地代の仮領収書が作成された。そして、面積が確定した後の昭和三七年七月九日直次郎と新造は前記測量面積に従つて本件土地を一八四坪として権利金を清算して残額を授受し、地代については前記面積に従つて一か月3.3平方メートル(一坪)につき一〇円の割合で計算し昭和三六年四月一日を始期として支払うことを合意し、直次郎は直ちに一八四坪として右割合で計算した昭和三八年三月分までの賃料を支払つた。

3  新造は前記本件一の土地について農地法所定の許可がなされた後本件土地を直次郎に引渡し、直次郎はこれを整地し、昭和三八年七月頃までに本件建物(但し、現況は昭和五〇年中に増築したもので当初は平家であつた)を建築して、以来本件土地を本件建物敷地及び本件建物に附随する庭として使用してきた。

4  その後、新造が死亡する昭和四八年まで直次郎と新造との間では改めて本契約書が作成されたことはなかつたが、契約書を作成せずに直次郎が本件土地を使用していることについて格別の紛争はなく、直次郎は本件土地を一八四坪として計算した本件土地の賃料を新造に支払い、新造も異議なくこれを受領して来た。

以上の事実が認められる。

右認定の事実によれば、直次郎と新造との間には、正式の賃貸借契約書は作成されていないけれども、昭和三五年一二月二五日に成立した仮契約に基づいて昭和三七年七月九日に本件土地について昭和三六年四月一日を始期とする建物所有目的の期間の定めのない賃貸借契約が成立したものと認められる。

<反証排斥略>

三そして、新造の死亡により原告が、直次郎の死亡により被告が、それぞれ本件土地に関して新造及び直次郎の有していた権利義務を承継したことは、当事者間に争いがない。

四次に、被告主張の契約の解除について判断する。

先ず、原告がその主張のとおり契約解除の意思表示をしたことは、当事者間に争いがない。

そこで、解除原因の存否について検討すると、原告が解除原因となる信頼関係を破壊する行為として主張する事実のうち、正式の契約書が作成されていないことは前記認定のとおりであるけれども、前記認定の本件賃貸借契約締結までの経過、及び、その後新造の死亡まで直次郎と新造との間に格別紛争もなく直次郎が本件土地を使用し、新造が賃料を受領していた経過に照らすと、本件賃貸借契約締結にいたる直次郎の行為に賃貸借契約の解除を相当とするような背信行為があつたということはできず、他にそのような事実を認めるに足りる証拠はない。又、原告が本件一、二の土地を取得して後の交渉に際しての直次郎の行為については、本件土地の面積が確定していることは前記のとおりであり、原告が調停において譲歩を求めたと主張するその余の条項について直次郎が譲歩せず、或いは賃料の増額に応じなかつたとしても、そのことが直ちに賃貸借契約の解除に値する背信行為であるといえないことは明らかである。さらに、本件土地の賃貸借に関し、増改築禁止の特約がなされていたことを認めるに足りる証拠はないから、直次郎が原告の制止や、調停委員の勧告に従わず、本件建物の増築工事をしたとしても、直次郎に賃貸借契約解除に値する背信行為があつたということもできない。

従つて、原告の解除の主張は理由がなく、これを採用することはできないから、本訴第一次請求は理由がない。

第二本訴第二次請求について

一新造がその所有にかかる農地である本件二の土地について直次郎との間で直次郎に賃貸する合意をしてこれを引渡した事実は、右合意の時期を除き当事者間に争いがない。そして、右合意の時期については第一の二において認定したとおりである。又、新造及び直次郎が死亡し、原告及び被告がそれぞれ本件土地に関する新造及び直次郎の権利義務を承継し、被告が現に本件二の土地を占有している事実、賃貸借の合意当時本件二の土地が農地であり、現在本件二の土地が現行農地法にいう市街化区域にある事実、本件二の土地の賃貸借について改正前の農地法所定の許可手続も、現行同法所定の届出もなされていないことは当事者間に争いがない。

二しかしながら、<証拠>によれば、近年本件土地附近一帯は普通の住宅地域として発展して来ており、周辺の農地も次第に宅地化して来ている事実が認められ、これと、右認定の本件二の土地が現行農地法にいう市街化区域内にあり、その転用のためには単に届出をすれば足り許可を要しなくなつた事実など新造と直次郎との賃貸借契約締結後における本件二の土地についての客観的事情の変化と、第一の二で認定したとおり、直次郎は新造から転用許可のある本件一の土地とともに本件二の土地の引渡を受け、新造の承諾のもとに本件土地全体を宅地として整地し、建物敷地及び建物に附随する庭として一体として宅地として使用していることとをあわせ考慮すると、本件二の土地の賃貸借契約は地目は農地であるが現況宅地である土地の賃貸借として農地法五条所定の届出をまたず、当事者の合意に従つて有効に成立しているものと認められる。

従つて、原告の本訴第二次請求も理由がない。

第三反訴請求について

一新造と直次郎との間で昭和三五年一二月二五日に成立した合意に基づき昭和三七年七月九日までに本件二の土地について昭和三六年四月一日を始期とする賃貸借契約が締結され、右賃貸借契約について当時の農地法第五条所定の許可を得ることが合意されたこと、その後の農地法の改正により本件二の土地が市街化区域内の土地となり、その転用手続は届出手続に変更されたことは、いずれも既に認定したところである。

二しかしながら、新造と直次郎とで本件二の土地の賃貸借及びこれに伴う農地法所定の転用手続をなす合意が成立したのは右のとおり遅くとも昭和三七年七月九日であるから、右合意に基づく転用許可ないし届出申請請求権については遅くとも昭和四七年七月九日の経過により消滅時効が完成したものということができる。従つて被告の反訴請求は理由がない。(なお、本件二の土地の現況が宅地であり、その賃貸借は農地法五条所定の届出手続を欠いても有効であることは既に認定したところである。)

第四本訴第三次請求について

一新造と直次郎の間に本件土地について遅くとも昭和三六年四月一日までに賃貸借契約が締結された事実、新造が昭和四八年八月九日死亡し、原告が本件土地の賃貸人の地位を承継し、他方において、直次郎が昭和五四年一二月五日死亡し、被告が相続により本件土地の賃借権及び過去の賃料清算等右賃借権に附随する一切の権利義務を承継した事実、原告がその主張のとおり昭和五〇年と昭和五三年に賃料増額の意思表示をした事実、並びに、直次郎及び被告が原告の賃料増額請求に応じないで昭和五〇年六月一日から昭和五六年一一月までの適正賃料として一か月につき九二〇〇円(3.3平方メートル(一坪)につき五〇円とし、本件土地を一八四坪として計算した額)を供託している事実は当事者間に争いがない。

二そして、<証拠>によれば、本件土地の賃料は当初一か月3.3平方メートルにつき一〇円であつたが、昭和三九年四月一日から一か月3.3平方メートルにつき一五円に、昭和四六年四月一日から同じく二〇円に、昭和四九年四月一日から同じく五〇円に、それぞれ増額されたものである事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

そして、<証拠>によれば、本件一、二の土地についての固定資産税及び都市計画税の合計額(以下税額という、なお、本件三の土地は前記のとおり本件増額請求時には国有地であつたため原告は税金を負担していなかつた。)は、昭和四九年度には二万九八三八円であつたが、昭和五〇年度には三万八三三四円に増額されたこと、神奈川県における昭和四九年四月の消費者物価指数を154.7とすると昭和五〇年七月には174.8となつたことなどの事実が認められるので(甲第六号証中本件土地の税額に関し右認定に反する部分は採用できない)、これらの事実のほか公知の当時地価の上昇が著しかつたことなどをも考慮すると昭和四九年四月の合意賃料は昭和五〇年五月頃には不相当となつたものと認められる。

三そこで、昭和五〇年六月一日における相当賃料を検討する。

<証拠>によれば、不動産鑑定士前田照男は本件土地の積算賃料を一か月3.3平方メートルにつき一二一円と算定しているが、同人は本件土地の面積を一六〇坪とし、税額を四万四三〇〇円として右金額を算出しているので面積を前記認定の607.58平方メートルとし、税額を前項の金額として右甲第六号証の計算方法により計算しなおすと本件土地の積算賃料は一か月3.3平方メートルにつき一一一円となり、本件土地の賃料を前項の物価指数の変動にあわせて計算すると一か月3.3平方メートルにつき約五八円となることが認められる。

又、<証拠>によれば、本件土地附近の土地の賃料は昭和五〇年頃から昭和五三、四年頃において一か月3.3平方メートルにつき四〇円ないし七〇円程度であることなどの事実が認められる。

そして、右認定の事実と前項で認定したこれまでの賃料増額の経過、ことに、昭和四九年四月一日から従前の賃料の2.5倍に増額されたものであり、右増額から第一回の増額請求まで一年余しか経ていないことをあわせ考慮すると昭和五〇年六月一日以降の本件土地の賃料は一か月3.3平方メートルにつき五五円が相当であると認められる。

四次に、<証拠>によれば本件一、二の土地の税領は前記のとおり昭和五〇年度において三万八三三四円であつたのが昭和五二年度には五万六五〇七円となり、昭和四九年以来毎年少くとも八〇〇〇円程度増加しているところ、昭和五三年度においても横浜市における固定資産税が増額されたことは公知の事実であるから、昭和五三年度には本件一、二の土地の税額は少くとも六万円以上となつたものと推認され、又昭和五〇年から昭和五三年にかけても物価が上昇したことも公知の事実であるから、昭和五三年三月頃には前記認定の従前の賃料は不相当となつたものということができる。

五そして、前項で認定した本件一、二の土地の税額の昭和五〇年度と昭和五三年度の差額は少くとも約二万二〇〇〇円となるから、これと本件土地の面積から3.3平方メートルあたりの増加額をみると約一二〇円(22000円÷183.80)となるところ、これは年額であるのでこれを月額になおすと一〇円になる。そして、これは必要経費の増加分であるから、これを従前の賃料に加えると六五円になるので、本件土地の賃料を昭和五三年六月一日から、右限度に増額することは相当であると認められる。

ところで、右程度の増額であれば、必要経費を控除した原告の実質手取賃料は物価の上昇にもかかわらず増額しないことになるが、前記認定のとおり、本件土地附近の昭和五三、四年頃の賃料は一か月3.3平方メートルにつき四〇円ないし七〇円であるというのであり、被告直次郎本人尋問の結果(第二回)によれば、右七〇円の土地は、本件土地より交通の便等のよい土地であるというのであるから、昭和五三年三月当時(本件土地の相当賃料が一か月3.3平方メートルについて六五円をこえるものと認めることはできないものというべきであり、右認定を左右するに足りる証拠はない。

六右の次第で、本件土地の賃料は昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日までは一か月3.3平方メートルにつき五五円であり、これを前記本件土地の面積に従つて計算すると一万〇一〇九円(55円×183.80)となるから、昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日まで二二か月分では二二万二三九八円となる。そして、右期間中の直次郎の供託額は二〇万二四〇〇円であるから、その差額は一万九九九八円となる。

又、昭和五三年四月一日以降の賃料は一か月3.3平方メートルにつき六五円であるから、これを右と同様面積に従つて計算すると一万一九四七円(65×183.80)となり、昭和五三年四月一日から昭和五六年一一月末日までの四四か月分は五二万五六六八円であり、その間の供託額は四〇万四八〇〇円であるからその差額は一二万〇八六八円となる。なお、右差額は一か年につき三万二九六四円、八か月につき二万一九七六円となることが計算上明らかである。

七ところで、本件土地のうち本件三の土地48.24平方メートルは昭和五五年四月一九日に原告が国から譲渡を受けて所有権を取得したものであり、それ以前は国の所有であつたことは当事者間に争いがないところ、被告は同土地については原告が所有権を取得するまでは直次郎及び被告に賃料の支払義務はないと主張する。しかしながら、第三者所有の土地の賃貸借契約も当事者間で有効であることは明らかであり、直次郎及び被告は本件賃貸借契約に従つて賃貸人から本件三の土地の引渡を受けてこれを占有して使用収益をしているのであり、その間所有者である国から占有を妨害されたり、使用料相当の損害金の支払請求を受けるということもなかつたのであるから(右事実は弁論の全趣旨により認められる)、直次郎及び被告は本件三の土地についても原告に対し賃料支払義務を負担しているものというべきである。

八なお、<証拠>によれば、本件土地の前年四月一日から当年三月末日までの賃料の支払時期が遅くとも当年三月末日までに到来している事実が認められる。

九従つて、原告の予備的請求は被告に対し本件土地の賃料が昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日まで一か月につき一万〇一〇九円、同年四月一日以降一か月一万一九四七円であることの確認を求め、昭和五〇年六月一日から昭和五六年一一月末日までの右賃料と供託額との差額合計一四万〇八六六円、及び、うち昭和五〇年六月一日から昭和五三年三月末日までの差額一万九九九八円に対する賃料弁済期より後の日である同年四月一日から、同日から昭和五四年三月末日までの差額三万二九六四円に対する同期間の賃料弁済期より後の日である昭和五四年四月一日から、同年四月一日から昭和五五年三月末日までの差額三万二九六四円に対する同期間の賃料弁済期より後の日である同年四月一日から、同年四月一日から昭和五六年三月末日までの差額三万二九六四円に対する同期間の賃料弁済期より後の日である同年四月一日から、同年四月一日から同年一一月末日までの差額二万一九七六円に対する同期間の賃料弁済期より後の日である同年一二月一日から、各支払済みまで借地法所定年一割の割合による利息の支払を求める限度で理由があり、その余は失当である。

<以下、省略> (小田原満知子)

目録<省略>

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